『HERO』の真骨頂は、主演の木村拓哉を取り巻く木村拓哉 HERO キャスト陣の卓越したアンサンブルにあります。とりわけ作品の核となったのが、松たか子演じる検察事務官・雨宮舞子との絶妙なコンビネーションです。
生真面目で出世欲が強かった雨宮が、久利生の真っ直ぐな信念に触れる中で検事を目指すようになり、二人の間に漂う絶妙な距離感と信頼関係は視聴者を釘付けにしました。その後、2014年の第2期では、北川景子演じる元ヤンの検察事務官・麻木千佳が新たなバディとして登場。雨宮とは異なる軽快な掛け合いと鋭いツッコミで新風を吹き込み、作品の寿命を大きく伸ばす原動力となりました。
さらに、城西支部のメンバーが足繁く通うバー「St.George's Tavern」のマスターを演じた田中要次の台詞「あるよ」は、日本中で流行語となりました。どんな突飛な注文に対しても無表情で即座に料理を差し出すこのワンフレーズは、脚本を手掛けた福田靖の綿密な計算と、演出陣の遊び心から生まれた珠玉のアイコンです。
次席検事の鍋島利光を演じた故・児玉清さん、部長検事の牛丸豊を演じた角野卓造、個性派検事・事務官を演じた小日向文世、八嶋智人、正名僕蔵ら、演劇界屈指の実力派が顔を揃えた布陣は、アドリブを交えた群像劇としての完成度を極限まで高めました。