インターネット上の掲示板や知恵袋などでは、「藤原組長がチャック・ウィルソンを挑発したが逃げられた」「裏でスパーリングをして藤原が極めた」といった尾ひれの付いた噂が散見されます。しかし、これらの言説は事実無根の都市伝説です。
実際の交渉経緯において、最大の障壁となったのは「興行のリスク管理」と「チャック・ウィルソン氏のタレント活動における契約上の制約」でした。
チャック・ウィルソン氏は当時、多数のレギュラー番組を抱える売れっ子であり、大手企業のCMキャラクターも務めていました。当時の藤原組の異種格闘技戦は、パンチやキックの直撃、脱臼や靭帯損傷を厭わない過酷なルールです。万が一、顔面の骨折や重大な負傷を負った場合、数億円規模の損害賠償や番組降板のリスクが生じる状況でした。
また、チャック・ウィルソン氏自身、武道に対する深い敬意を持っていました。プロレスのエンターテインメント性を理解しつつも、自らの流儀である少林寺拳法の看板を商業的なサーカスファイトで安売りすることを固く拒否したと伝えられています。藤原組長側も、単なる話題作りのピエロではなく一人の武道家としてチャック氏を見ていたからこそ、条件が折り合わないまま無理なアプローチを控えたというのが真相です。