実在の店舗をフィーチャーしたドラマで主演を務める俳優の松重豊氏は、メディアのインタビューで大衆食堂が持つ独特の温もりと人間模様について度々語っている。ただ腹を満たす場所ではなく、人々の生活や歴史が染み込んだ空間そのものが至高の調味料になるという視点だ。
こうした日常の食をエンターテインメントへと昇華させた立役者がテレビ東京である。同局が長年培ってきたリアルな映像美学と、過度な演出を削ぎ落としたカメラワークは、視聴者の食欲と郷愁を同時に刺激する。その映像作りの哲学が、市井の名店再評価に果たす役割は極めて大きい。