本作屈指のクライマックスである竜の巣突入シーンは、緻密な状況判断と圧倒的なスピード感で観る者を圧倒します。軍の巨大飛行戦艦ゴリアテの追撃を受け、パズーとシータが乗る凧(グライダー)を牽引した空中海賊の母船「タイガーモス号」は、巨大な闇の渦へと追い詰められます。
逃げ場を失った絶体絶命の状況下で、船長のドーラが放った名言が「竜の巣だぁ!」でした。この瞬間にドーラが見せた判断力は、並の飛行士の常識を遥かに凌駕していました。
通常の低気圧であれば、風は中心に向かって反時計回りに吹き込み、雲の外周からは吹き飛ばされるような風圧を受けます。しかしパズーの父が残したメモや気流の乱れから、ドーラは「低気圧と逆向きの風が吹いている」という異常な事実を瞬時に看破しました。外に向かって押し出そうとする強烈な吹き出し風に逆らい、エンジンの全出力を上げて真正面から中心部へ突入したことこそが、巨大な嵐の壁を突破できた唯一の勝因でした。