2021年11月14日、ドバイ国際スタジアムで開催された決勝カードは、トランス・タスマン(タスマン海を挟む隣国同士)のライバル対決となったニュージーランド対オーストラリアでした。事前の下馬評を覆してオーストラリア代表初優勝を手繰り寄せた背景には、明確な3つの決定打が存在します。
1. トス勝率と「チェイス有利」の環境支配
当時のUAEのスタジアムでは、日没後の後半戦になるとピッチや外野の芝生が激しい夜露で濡れる「デュー(Dew)現象」が発生していました。ボールが滑ってスピンがかかりにくく、守備側のグリップが極度に難しくなるため、「トスに勝って後攻(チェイス)を選択した側が圧倒的に勝つ」という偏りが顕著でした。豪州キャプテンのアーロン・フィンチは大会を通じてトス勝率驚異の85.7%(7戦中6勝)を記録し、決勝でも迷わず後攻を選択。この運と決断が最大の勝因基盤を作りました。
2. デヴィッド・ワーナーの劇的な復調
大会直前のIPL(インディアン・プレミアリーグ)で極度の不振に陥り、所属チームの先発から外される屈辱を味わっていたオープナーのデヴィッド・ワーナー。しかし指揮官ジャスティン・ランガーは彼を信じ続けました。ワーナーはその期待に応え、決勝でも38球53ランを記録。大会を通じて通算289ランを叩き出し、批評家を沈黙させました。
3. ミッチェル・マーシュの3番打者固定という奇策
従来は中位や下位を務めることが多かった大型オールラウンダーのミッチェル・マーシュを「3番バッター」に抜擢した采配が的中しました。決勝では50球77ラン(ノットアウト)の猛打を爆発させ、ニュージーランド自慢のボウラー陣を序盤から完全に粉砕。NZのキャプテン、ケイン・ウィリアムソンが放った気迫の85ラン(48球)を完全に霞ませる圧巻のスピード決着(18.5オーバーで到達)を演出しました。