桃の種の取り方は、果実の熟度によって最適なアプローチが異なります。追熟が進んでいない硬い桃に完熟用のテクニックを適用したり、逆にとろけるような柔らかい桃を無理にねじろうとすると、確実に失敗の原因となります。
1. 硬い桃(追熟前・硬質品種)の種の取り方
山形や福島などで親しまれる「おどろき」や「川中島白桃」の硬い状態のものは、果肉と種が強固に癒着しています。この場合は、無理にねじって外そうとせず、「くし形切り先行メソッド」を採用するのが確実です。
種に向かって縦に8等分または16等分の切れ目を均等に入れ、一切れずつ種から外側へ倒すように切り離していきます。果肉が硬いため身崩れの心配がなく、リンゴのように美しいエッジの立ったカット仕上がりになります。
2. 柔らかい完熟桃の切り方とスプーンの活用法
果汁が滴るほど完熟した桃は、ひねる動作すら果肉へのダメージになります。ここでは「洋なしスプーンくり抜き法」が威力を発揮します。
まず包丁で縦半分に優しく切れ目を入れ、糸(タコ糸や裁縫用の太糸)を切れ目に通して一周させ、中心で交差させて引くことで、果肉を押しつぶさずに真っ二つにカットします。その後、縁が薄い計量スプーンやフルーツ用スプーンを種の裏側へ滑り込ませ、種だけをすくい出すように取り除きます。
3. キッチンバサミを使った「丸ごと種抜き」の裏技
近年、SNSや料理専門誌でも大きな話題を集めているのが、キッチンバサミを使った丸ごと種抜きです。桃をカットせずに丸ごとケーキに乗せたり、中にクリームを詰めるスイーツを作る際に必須となるプロの技術です。
ヘタの部分を少し深めにくり抜き、ハサミの刃を開いた状態でヘタ側から種の周囲へ差し込みます。種の周りにある結合繊維をハサミの先でチョキチョキと全方向切り離し、最後に種をハサミでしっかり挟んで引き抜きます。この手法を用いれば、外観を一切損なわずに中心の種だけをすっきりと除去できます。