『花より男子』における西門総二郎というキャラクターは、伝統ある茶道西門流の次男坊にして筋金入りのプレイボーイという、極めて立体的な役どころでした。当時、本格的な連続ドラマ出演がほぼ初めてに近かった松田翔太は、1985年9月生まれの当時20歳。立ち居振る舞いの美しさと洗練された身のこなしが要求される難役に対し、ロンドン留学で培った国際感覚と天性の美意識で見事に応えてみせました。
特に視線を集めたのが、計算し尽くされたスタイリングです。知的なフレームの眼鏡、艶やかな黒髪を流した端正なヘアスタイル、そして仕立ての美しいスーツスタイルは、原作漫画から抜け出してきたかのような説得力を持ち合わせていました。単なる派手な御曹司ではなく、茶道という日本の伝統文化を背負う家元の重圧と、その裏返しとしての刹那的な遊び人ぶりを、微細な視線の揺らぎで表現した演技力は放送当時から業界内で高く評価されました。
作中で放たれた「一期一会だな」「俺たちF4に任せな」といった西門総二郎の象徴的なセリフは、彼の低く落ち着いた声質によって単なるキザな文句にとどまらず、大人のダンディズムを漂わせる名言として視聴者の胸に刻まれました。制作現場の関係者によると、現場での松田は若手ながらも自身の見せ方や役柄の心理描写に対して非常にストイックで、茶道の所作指導にも妥協なく取り組んでいたと伝えられています。