アニメの私服がダサく見える現象を語る上で欠かせないのが、「作品が制作された当時のリアルなトレンド」と「現代の審美眼」のズレです。
ファッションの流行周期は約20年から30年で巡ると言われますが、そのままの形でリバイバルするわけではありません。90年代後半から2000年代初頭にかけて大流行したストリート系ファッションを振り返ってみると、以下のような特徴がありました。
極端な腰パン、裾を引きずるほどのルーズなボトムス、尖った爪先の革靴、ジャラジャラと付けられたウォレットチェーン、そして英字が大きくプリントされたタイトなTシャツ。当時はこれこそが最先端の「イケてる若者」のスタイルであり、漫画家やアニメーターは当時のストリート雑誌を参考にリアルな若者像を描き出していました。
しかし、オーバーサイズやシンプルでクリーンなノームコア、ミニマリズムが定着した視点から当時の描写を眺めると、どうしても「情報過多で落ち着きがない」「時代遅れの痛々しい格好」に見えてしまいます。作品が名作として長く愛され、再放送や配信サービスで視聴され続けるほど、このタイムカプセル現象によるファッションの風化は避けられない宿命と言えます。