RADWIMPS初期から中期にかけての楽曲群を語る上で欠かせないのが、野田洋次郎自身の恋愛体験とその喪失です。エッセイ集『ラリルレ論』や過去の雑誌インタビュー等でも断片的に触れられている通り、初期の名曲群は特定のパートナーへの絶対的な愛情と、その関係性が終わった際の深い傷跡から生み出されています。
『me me she』の歌詞中には、聴き手の胸を締め付ける象徴的なフレーズが随所に散りばめられています。
「さよならと一緒に教えて欲しかったよ あの約束の破り方を」
「僕の好きな君 その君が好きな僕 もういないんだよ」
別れを告げられた側が直面するのは、相手を失った悲しみだけではありません。「二人で交わした未来の約束をどう処理すればいいのか」という途方に暮れる感覚、そして「彼女を愛していたときの自分」というアイデンティティそのものの崩壊です。
歌詞の終盤にかけて描かれるのは、「君の次の恋人が自分よりも君を幸せにすることを願う」という利他性と、「それでも自分が一番愛していたと信じたい」というエゴイズムのせめぎ合いです。このアンビバレントな感情を一切の装飾なしに書き切ったからこそ、多くのリスナーが自身の過去の失恋と重ね合わせて涙を流すことになります。