2016年に公開された実写映画版(内藤瑛亮監督)と古屋兎丸による原作漫画では、物語の骨格は共通しているものの、いくつかの重要な演出や描写に明確な違いが存在します。
第一の違いは、処刑シーンにおける視覚表現とキャラクターの退場演出です。映画版では実写ならではの生々しい特殊メイクとスプラッター演出が強化され、ダフの眼球摘出やヤコブの処刑がより直接的なゴア描写として再現されました。一方で、原作にあった内省的なモノローグや耽美的な絵画的構図は、映画ではテンポ重視のサイコ・スリラーへと再構成されています。
第二の違いは、カノンとライチの絆の描き方と生存の結末です。両作ともにヒロインであるカノンは唯一の生存者となりますが、原作漫画ではライチがカノンを抱きかかえ、光の差し込む外の世界へと連れ出す叙情的なラストが印象的です。自らの体を犠牲にして瓦礫からカノンを守り抜いたライチは、チェスを指した記憶と「人間としての心」を残して機能停止します。美醜や機械と人間の境界を越えたこの結末こそが、単なるスプラッター作品に留まらない深い感動を呼ぶ要因となっています。