結論から明かそう。「隣の芝生は青く見える」という単一の連続ドラマは公式には存在しない。視聴者の記憶の中で溶け合っているのは、2018年にフジテレビジョン系列で放送された『隣の家族は青く見える』と、昭和から平成にかけてTBSテレビで放送された不朽の名作『隣の芝生』である。
「隣の芝生は青い(The grass is always greener on the other side)」という誰もが知る慣用句が、両作のタイトルとコンセプトに絶妙にリンクしていることが混同の元凶だ。他人の暮らしが何不自由なく幸せそうに見えてしまい、我が身を振り返って焦りや嫉妬を抱く人間の業。この普遍的なテーマを真正面から扱った2つのテレビドラマが、年月を経て視聴者の頭の中でひとつのタイトルとして結実してしまったのである。
どちらを探していたかによって、たどり着くべき物語はまったく異なる。共同住宅で現代の生きづらさと向き合う夫婦たちの群像劇か、それとも日本中に嫁姑戦争の凄まじさを知らしめた伝説のホームドラマか。その境界線を整理していこう。