メンズバッグの歴史を振り返ると、ストリートウェアの文脈を抜きにして現代のムードは語れない。裏原宿カルチャーを牽引した藤原ヒロシが提示した機能的ギアの美学、そして故ヴァージル・アブローがラグジュアリーとストリートの境界を融解させた功績は、現在のメンズファッションにおけるバッグの位置づけを根底から変えた。
斜め掛けのクロスボディスタイルは、かつての「休日のラフな装い」という枠組みを軽々と飛び越えた。セットアップの外しとして、あるいは上質なコートのアクセントとして機能する。アパレル産業全体がカジュアル化とテーラードの再解釈を繰り返すなか、ショルダーバッグは現代人の機動性とエレガンスを調和させるマスターピースとなったのだ。