この二人の激動の軌跡は、NHKの連続テレビ小説『マッサン』で広く知られるところとなった。近年、NHKオンデマンドなどを通じて同作を再び鑑賞し、ウイスキー造りの現場に思いを馳せる若い世代が急増している。彼らが画面に見出すのは、巨大企業の効率的な量産システムではなく、泥臭い麦芽造りや原料へのひたむきな眼差しだ。
その熱気は、日本各地に誕生した新世代の小規模クラフト蒸留所への支持へと直結している。地元産の二条大麦を取り入れたり、地域の特産品であるピートを独自に掘り起こして麦芽を燻したりと、テロワール(風土)を原料から表現しようとする試みが各地で花開いている。かつてドラマの中で描かれた「原料へのこだわり」という原点は、いまや日本全国の小規模な造り手たちによって、より多彩な形で再解釈されているのだ。