ジブリ音楽のスケールを語る上で欠かせないのが、新日本フィルハーモニー交響楽団との長年の盟友関係である。久石は同団と「新日本フィル・ワールド・ドリーム・オーケストラ」を立ち上げ、映画音楽をクラシックの殿堂で鳴り響く本格的な管弦楽作品へと昇華させた。
劇伴特有の短尺なモチーフを再構築し、交響組曲としてまとめ上げる作業は、作曲家としての並外れた構造力を要求する。弦楽器の繊細なピチカートから金管の咆哮まで、緻密に計算されたオーケストレーションは、生身の演奏者たちの熱量を極限まで引き出す。映画の付属物と見なされがちだったジャンルを、一級の芸術音楽として国際的なスタンダードに押し上げた功績は極めて重い。