スクリーンで多くの人々を魅了した大ヒット映画の原作は、活字で読んだときに更なる深みと没入感を与えてくれる。例えば、七月隆文による『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、時間の流れという不可避な壁に直面する二人を描いた究極の切なさが漂う作品だ。映画版の美しい映像美もさることながら、原作小説が持つ心理描写の精密さは、読者の涙腺を容赦なく刺激する。
一方で、世界的ロングセラーである村上春樹の『ノルウェイの森』(新潮社)は、喪失と再生をテーマにしたビターな恋愛小説の金字塔だ。静けさの中に漂う孤独感と繊細な愛の描写は、発表から年月が経過した今もなお、新たな読者を惹きつけてやまない。映像化作品の背後に広がる豊かなテキストの世界は、映画を観た後でさえ新しい発見に満ちている。