矢沢永吉のヘアスタイルを語る上で欠かせないのが、年代ごとの明確なコンセプトの進化です。ロックンロールの象徴であるリーゼントをベースにしながらも、年齢や音楽性の深まりとともに、そのディテールは緻密にアップデートされてきました。
1970年代前半のキャロル(CAROL)時代は、革ジャンに身を包み、サイドを後方へタイトに流してバックで合わせるダックテール、そしてフロントに高さを出すクラシックなリーゼントスタイルが確立されました。当時、欧米の50sロックンロールカルチャーを日本人の骨格に合わせて見事に昇華させたこのフォルムは、一大ムーブメントを巻き起こしました。
1980年代から1990年代のソロ円熟期に入ると、フロントの過度なボリュームを抑え、サイドとバックをスッキリと刈り上げたショートリーゼントやウルフベースのスタイリッシュな形状へと移行します。スーツスタイルにも完璧にマッチする都会的な大人のロックヘアとして定着しました。
そして2000年代以降から現在にかけては、無理に黒染めをせず、自毛の白髪を活かした「白髪ダンディスタイル」を確立。サイドを適度に抑えつつトップに自然な立ち上がりを持たせる大人のショートバックスタイルは、シニア世代のみならず30〜40代のビジネスパーソンからも絶大な支持を集めています。