松山ケンイチの若い頃を語る上で外せないのが、2.5次元の実写化において伝説と称される2つの大ヒット作です。1つ目は2005年公開の映画『NANA』におけるシン(岡崎真一)役でした。原作コミックでも屈指の人気を誇る中性的な美少年ベーシストを演じるにあたり、シルバーのアッシュヘアと唇のピアスを完璧に着こなし、退廃的でありながら無垢な少年の危うさを見事に体現。「原作のシンそのものが現れた」とファンを熱狂させました。
そして翌2006年、映画『DEATH NOTE / デスノート』で演じた世界一の名探偵・L(エル)役によって、その人気と評価は決定的なものとなります。白い長袖シャツにダボついたデニム、目の下の濃いクマ、猫背で膝を抱えて座る独特のポスチャー、甘いお菓子を指先でつまむ仕草など、漫画の持つ非現実的な記号を完璧な生身の人間として成立させました。
当時、映画評論家や海外メディアからも「Lの狂気と知性をこれ以上ない純度で具現化した」と絶賛され、第30回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。スピンオフ映画『L change the WorLd』(2008年)では単独主演を務め、興行収入30億円を超える大ヒットを記録しました。CGに頼らない生身の肉体表現と繊細な表情設計は、現在でも実写化映画における金字塔として語り継がれています。