今年の決勝戦は、まさに歴史に残る名勝負だった。対峙したのは、連覇を狙う絶対王者と、オンライン予選を圧倒的なスコアで勝ち上がってきた17歳の新星。お題となる長文がモニターに表示された瞬間、両者の指がブレて見えなくなるほどの速度で動き出した。
勝負を決めたのは、わずか1文字のミスタイプだった。1秒間に20文字以上を正確に打ち込む極限状態において、一度のミスは致命傷となる。バックスペースキーを叩くその一瞬のロスが、勝敗の明暗を分けた。王者が意地を見せて王座を守り抜いた瞬間、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。勝利した王者の額からは、激しい運動をしたかのように汗が滴り落ちていた。