荒木飛呂彦の描く世界観は、常に人間讃歌と運命への抗いを根底に秘めている。スカラベ=カブトムシはフンを転がして球体を作り、そこから命が生まれると古代から信じられていた。つまり、腐敗や死の中から新たな生命を創造する「天国」へのプロセスそのものを体現しているのだ。
ダーク・ファンタジーとバトル・アクションが高次元で融合する本作において、プッチの祈りは神への賛美でありながら、同時に極めて偏執的な自己救済の儀式でもある。カブトムシを4回反復することで、彼の精神は日常の雑念を捨て去り、狂気的なまでの「無」の領域へとシフトしていく。