妹・三奈の人生は、常に父の影と共にあった。2004年にミスターが脳梗塞で倒れて以来、彼女は自らの私生活を削り、献身的なリハビリ支援に奔走してきた。読売ジャイアンツの試合に父が姿を見せるとき、その傍らには常に三奈の凛とした立ち姿があった。
彼女にとってプロ野球とは、単なる取材対象ではなく、家族そのものだった。選手たちに泥臭く寄り添い、涙を流しながら球児の声を拾い上げる取材姿勢は、父から受け継いだ誠実さの証左でもある。
「父の名を汚すような仕事は絶対にしない」。それが三奈の行動原理であり、バラエティ番組で父のエピソードを笑いのネタとして披露する兄の姿に、強い違和感を抱き続けた理由でもあった。父の威光を守るための沈黙と献身。それが彼女の選んだジャーナリストとしての生き様だった。