山下清の絵画が放つ魔力|貼り絵の制作秘話と鑑定相場・真贋の見分け方

山下清の絵画が放つ魔力|貼り絵の制作秘話と鑑定相場・真贋の見分け方

山下清の絵画が放つ魔力|貼り絵の制作秘話と鑑定相場・真贋の見分け方の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。

山下清の貼り絵を前にしたとき、多くの人が息を呑むのは、その「圧倒的な色彩密度と立体感」です。初期の素朴なちぎり絵から進化を遂げた彼の作品は、単なる紙細工の領域を完全に超え、点描画の最高峰ともいうべき芸術性を放っています。

代表作として名高い『長岡の花火』(1950年制作)の原画を観察すると、夜空に咲き誇る大輪の火花、信濃川に反射する光の揺らぎ、そして土手に集う群衆の仕草一つひとつが、気が遠くなるほど細かくちぎられた色紙によって表現されています。花火の光を放つ中心部には、紙を細かく撚り合わせた「紙縒り(こより)」を植え付けるように貼り重ねる独自の技法が使われており、平坦な画面に強烈な明暗と陰影を生み出しています。

山下清の貼り絵の作り方は、下絵をほとんど描き込まず、頭の中にある情景を直接紙の上に再現していく直感的なものでした。指先を巧みに使い、ミリ単位以下にちぎった色紙や印刷物の切れ端を、米糊を使って寸分の狂いもなく台紙に配置していく作業は、まさに精神の極限状態で行われる神業でした。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。