「毎日飲み続ける行為」の是非は、治療対象となる疾患の病態生理によっても評価が大きく分かれます。代表的な2つのケースを比較してみましょう。
まず、スギやヒノキを原因とする季節性アレルギー性鼻炎における、花粉症薬を毎日飲み続ける危険性についてです。花粉シーズン中の2〜3カ月間にわたり、第2世代抗ヒスタミン薬を毎日規則正しく服用し続けることは、日本耳鼻咽喉科学会の『鼻アレルギー診療ガイドライン』でも強く推奨されている「初期療法」および維持療法の基本です。花粉が飛び始める直前または症状が出始めた極めて初期から薬血中濃度を一定に保つことで、粘膜の好酸球浸潤や慢性炎症の進行を最小限に食い止めることができます。したがって、シーズン中の連用自体に過度な危険性はなく、むしろ「ひどい日だけ頓服で飲む」という不規則な服薬の方が、アレルギー炎症をこじらせる原因になります。
一方、より長期にわたる服用が前提となるのが、慢性蕁麻疹での連用と安全性です。毎日のように原因不明の膨疹(みみず腫れ)とかゆみが1カ月以上続く慢性蕁麻疹では、『蕁麻疹診療ガイドライン』において、非鎮静性の第2世代抗ヒスタミン薬を数カ月から年単位で継続することが標準的な寛解導入法として確立されています。
蕁麻疹患者の多くが「症状が出ていない日に薬を飲むのは無駄ではないか」「内臓を痛めるのではないか」と恐れて服薬を中断してしまいますが、これは最も避けるべき行動パターンです。皮膚の肥満細胞からヒスタミンが遊離する過敏状態を鎮火させるには、一定期間、受容体をブロックし続けて「症状が全く出ない状態」を脳と皮膚に記憶させることが医学的に必要不可欠だからです。臨床試験においても、第2世代薬を数年間にわたって連用した患者群において、重篤な蓄積毒性や内臓不全の発生率は対照群と比較して有意な上昇を示していません。