投手・大谷翔平の歩みを語る上で避けて通れないのが、2018年秋と2023年秋に行われた右肘の手術です。2度目の手術を経てマウンドに復帰するにあたり、バイオメカニクスの専門家やチームのメディカルスタッフとともに徹底した投球フォームの再構築が行われました。
最大の変更点は、「テイクバック(腕の引き)のコンパクト化(ショートアーム化)」と「下半身主導のエネルギー連鎖」です。
かつてのように腕を大きく後ろへ引くフォームから、胸郭の近くで小さく円を描いて素早くトップを作るフォームへとマイナーチェンジしました。これにより、肘関節や内側側副靭帯にかかる剪断応力(ストレス)を大幅に低減させながら、体幹の回転力をロスなく指先に伝えることが可能になっています。
球速の出力面でも、力任せに100mphを連発するスタイルから、走者を背負った場面や勝負どころで意図的にギアを上げる「投球の強弱(コマンド力)」を重視する大人のピッチングスタイルへと昇華しました。