消波ブロックの周辺は魚の絶好の住処となるため、危険を冒してブロックの上に登る釣り人が後を絶ちません。しかし、実際に滑落事故を目撃したアングラーやレスキュー隊員の手記・証言からは、日常のすぐ隣にある生々しい戦慄が伝わってきます。
ある救助関係者は「ブロックの隙間に人が落ちたという通報を受けて駆けつけても、上空や陸上からはどこに要救助者がいるのか全く見えないことが多い」と語ります。ブロック深部は光が届きにくく、波の音と反響によって助けを呼ぶ叫び声がかき消されます。さらに、分厚いコンクリートと海水に囲まれることでスマートフォンなどの電波が遮断され、自力で位置情報を発信することすら不可能になります。
また、海中深く積み上げられた巨大なコンクリート塊の威容に対して、心理的な恐怖を訴える声も少なくありません。インターネットのコミュニティでは「見上げると圧倒される」「暗い隙間を覗くだけで足がすくむ」といった巨大物恐怖症や海洋恐怖症の文脈で語られることも多く、人間の本能が危険を察知して拒絶反応を示しているとも解釈できます。