この危機に対し、世界はすでに動き出している。欧州連合(EU)は2025年末に施行された改定AI法において、職場や教育機関での「感情認識システム」および「脳波プロファイリング」の利用を原則禁止とした。個人の「ニューロプライバシー(神経プライバシー)」を基本的人権の一環として定義した格好だ。
これに対し、日本の法整備は後手に回っている。個人情報保護法や労働基準法などの現行法では、生体データから推測された「潜在的思想」の取り扱いに関する明確な規制が存在しない。
産業界からは「AIを活用した人事最適化やメンタルヘルスケアを過度に制限すべきではない」との反発も強く、技術革新のスピードと人権保護のバランスをめぐり、政府内の検討会でも議論は平行線をたどっている。