国語辞典や近世文学の記録によると、「猫の手も借りたい」という慣用句は、「誰でもいいから手伝いがほしいほど、非常に忙しいさま」を指します。ここで見落とされがちなのが、「誰でもいい」のニュアンスに含まれる自嘲的なニュアンスです。
単に「人手が足りない」という客観的な事実だけでなく、「本来なら何の役にも立たないような者の手であっても借りたい」という、限界を超えた切迫感を含んでいる点にこの言葉の本質があります。
日常会話やビジネスでの典型的な例文は以下の通りです。
- 「年末の繁忙期とシステム刷新が重なり、部署全体が猫の手も借りたいほどの激務に追われている。」
- 「新店舗のオープン初日、予想以上の来客で厨房はまさに猫の手も借りたい状況だった。」
状況に応じて使い分けるための類語・言い換え表現としては、「多忙を極める」「手が回らない」「藁(わら)をも縋(すが)る思い」「てんてこ舞い」などが挙げられます。一方で対義語としては、「手が余る」「閑古鳥が鳴く」「暇を持て余す」「腕をこまねく」などが該当します。