「イカは鮮度が命」――言葉で言うのは容易いが、実現し続けるのは容易ではない。河太郎の代名詞でもある活いか造りは、皿の上でなお身が透き通り、細胞が脈打つかのような生命力を保ったまま提供される。一口頬張れば、コリコリとした独特の歯ごたえの直後に、濃厚な甘みが口いっぱいに広がるのだ。この食感と甘みのグラデーションこそ、一度体験すれば忘れられない元祖の味である。
玄界灘の荒波で育ったヤリイカやアオリイカなど、季節ごとに旬の銘柄を選び抜く眼利きも秀逸だ。海の状態や水温によってイカのコンディションは日々変化するが、その日最も質の高い状態のものだけをお客の元へ届ける。長年培われた妥協なき選別眼が、老舗の暖簾を守り続けている。