世界の食文化トレンドを牽引するドキュメンタリー番組、Netflixの『ストリート・フード: アジア』。この作品のなかで描かれたインド・デリーやジャイプールの路地裏で生きる「チャイワラ(チャイ職人)」たちの姿は、世界中のフードディレクターやグルメファンを歓喜させた。粘土器(クルハド)に注がれた湯気が立ち上る濃密なマサラチャイは、単なる飲料の枠を超え、街のコミュニティを繋ぐライフスタイルそのものとして再評価されている。
映像美とともにスクリーン越しに伝わるのは、職人たちが大鍋で勢いよくミルクを煮立て、高い位置から柄杓で何度も液体を落としながら空気を含ませる力強いパフォーマンスだ。この空気を含ませる技法によって、口当たりがまろやかになり、スパイスの立ち香が幾重にも膨らむ。ストリートフードのダイナミズムが日本の若年層や感度の高いクリエイター層に刺さり、「家庭でもあの本場の臨場感と深い味わいを再現したい」という欲求を一気に押し上げたのだ。