書類に穴を開けずに紙同士を強い圧力でプレスして圧着する「穴あけ不要(プレス型)」モデルは、書類の美観を損ねず、文字欠けの心配もないことから爆発的な支持を集めた。金属針の補充も廃棄時の分別もいらない。これ以上ないスマートな道具に見える。
だが、日々の実務に投入した途端、手痛いしっぺ返しを食らうケースがある。最大の落とし穴は「保持力の限界」と「紙質への依存度」だ。プレス型は紙の繊維を絡ませて固定するため、コート紙や凹凸の激しい特殊紙、あるいは湿気を吸ったコピー用紙では綴じ強度が極端に落ちる。デスクから持ち上げてパラパラとページをめくった瞬間、留め口が静かに外れて床に書類が散乱する——そんなトラブルが現場で頻発しているのだ。
穴をあけて折り込む「クリップ型」であれば数十枚をガッチリ固定できるのに対し、圧着型は公称5枚程度が限度。提出用プレゼン資料なのか、一時的な社内回覧なのか。用途の線引きを誤ると、業務効率化どころか再印刷の手間を増やす結果になりかねない。