夫婦の戦争に巻き込まれ、また自らも毒牙を剥いた隣人夫婦の存在も見逃せない。特に高橋一生が演じた鯨井和樹は、年上の妻・有希(キムラ緑子)との仮面夫婦関係を続けながら、金のために手段を選ばない冷徹な男として強烈な爪痕を残した。
レンタル夫として雇われていた和樹が、次第に2億円強奪の企みに深く加担していく過程は、本作のサスペンス度を極限まで引き上げた。一見人当たりの良い好青年がふと見せる冷淡な表情、ギラついた野心。高橋一生の繊細かつ不気味な演技が、単なる夫婦喧嘩に終わらない重層的な群像劇へと作品を昇華させた。