番組を去った後のT・R・ナイトは、テレビドラマの呪縛から解き放たれたかのように、本来のフィールドである舞台演劇の世界で輝かしいキャリアを築き上げていきました。
ブロードウェイの舞台『パレード』や『IT'S ONLY A PLAY』などで主役・主要キャストを務め、トニー賞をはじめとする数々の名誉ある演劇賞にノミネート・出演を果たします。また、映像分野でもデヴィッド・フィンチャー監督のNetflix作品や、ケイリー・クオコ主演の大ヒットサスペンスコメディ『フライト・アテンダント』において主人公の兄デイヴィー役を好演。その卓越した演技力と人間味あふれる存在感は、米エンタメ界で揺るぎない信頼を勝ち得ています。
私生活では2013年、長年のパートナーであるパトリック・リーヒー氏と結婚。当時の式には、ドラマで親友役を演じたキャサリン・ハイグルらも参列し、現場を離れても変わらない温かな友情を証明しました。
そして、ファンにとって忘れられない瞬間がシーズン17第4話(2020年全米放送)に訪れます。新型コロナウイルス感染症に冒され、生死の境を彷徨うメレディスの意識の中に広がる「奇跡のビーチ」。波打ち際に佇んでいたのは、11年ぶりにスクリーンへ帰還したジョージ・オマリーその人でした。
年を重ね、穏やかな笑みをたたえたジョージは、浜辺でメレディスと語り合います。 「君の子供たちの成長を見守っているよ。君が年老いていく姿を見るのが本当に楽しみなんだ」 現実世界では無念の降板剧を辿った彼が、物語の中で完全に魂を救済され、メレディスを現世へと押し戻す道標となる演出は、日米のSNSで「涙が止まらない」「最高の和解」と爆発的な反響を呼びました。かつての確執を乗り越え、制作陣とT・R・ナイトが作品へのリスペクトを共有した歴史的瞬間でした。