取材現場や法律相談に寄せられる生の声から見えてくるのは、給与を隠す夫たちの歪んだ心理構造です。単なる「恥ずかしさ」や「面倒くささ」ではなく、明確な意図を持って隠匿を続けるケースには主に3つの類型が存在します。
1つ目は、「金銭による上下関係の構築(モラハラ心理)」です。「俺が稼いだ金はお前の自由にはさせない」「食わせてやっている」という優越感を保つため、給料明細をブラックボックス化します。妻を経済的に従属させ、逆らえない環境を作り出す典型的な精神的・経済的DVの構図です。
2つ目は、「借金やギャンブル、不貞行為の隠蔽」です。消費者金融からの借り入れやパチンコ、風俗通い、浮気相手への送金などを隠すため、実際の支給額や手取り額をごまかします。給与振込口座とは別に隠し口座を開設し、ボーナスや残業代をプールしているケースも散見されます。
3つ目は、「将来の離婚を想定した財産分与逃れ」です。夫婦関係の悪化を自覚している夫が、離婚時に財産を半分渡したくないという自己防衛から、あらかじめ貯蓄額や退職金見込額を隠す防衛工作を行っているパターンです。