日本全国を旅すると、現存十二天守以外にも数百を超える壮麗な城郭に出会います。しかし、それらは建築の経緯や歴史的根拠によって明確に区別されています。この違いを理解していないと、「歴史的な本物」と「近代の観光用モニュメント」を見誤る原因になります。
復元天守と復興天守、そして模擬天守の違いは以下の通りです。
- 復元天守(木造復元・外観復元):古写真、指図(設計図)、文献史料に基づき、かつて存在した天守を忠実に再現したもの。名古屋城の木造復元事業や、白河小峰城、掛川城、大洲城などの完全木造復元が該当します。鉄筋コンクリートで外観のみ再現したものは外観復元天守(熊本城、若松城など)と呼ばれます。
- 復興天守:過去に天守が存在したことは確かであるものの、当時の資料が乏しく、別の城を参考にしたり想像を交えて再建されたもの(大阪城天守閣、小田原城など)。外観は壮麗ですが、江戸時代の正確な形状とは異なる部分を含みます。
- 模擬天守:歴史上その城に天守が存在しなかった、あるいは全く別の場所に観光や地域振興の目的で新設された建物(伊賀上野城、墨俣城、郡上八幡城など)。
旅行や観光で城を訪れる際は、その天守がどのカテゴリーに属するのかを事前に確認することで、展示されている展示物の見方や建築ディテールへの理解度が格段に深まります。