水戸芸術館を語るうえで外せないのが、市制100周年を記念して建設された地上高100メートルのシンボルタワーです。正三角形で構成された28個の四面体(テトラヘドロン)を三重らせん状に積み上げたこのタワーは、規則的な幾何学パターンとチタンパネルの鈍い銀色の輝きが調和し、見る角度や天候によって刻一刻と表情を変えます。
タワー内部にはガラス張りのエレベーターが設置されており、地上86.4メートルのタワー展望室へ一気に上昇します。展望室の壁面には大小さまざまな丸窓(ポロホール)がランダムに穿たれており、切り取られたフレーム越しに水戸市街地や遠く筑波山の稜線を見渡すことができます。一般的な超高層ビルのパノラマ展望台とは異なり、「建築の構造体そのものを内側から体験する」という磯崎建築ならではの空間演出が凝縮されています。
また、敷地の中央に広がる開放的な芝生の「広場」と、施設のエントランスとなる巨大な吹き抜け空間も見事です。エントランスホールには国内最大級のパイプオルガン(マナ・オルガン、ストップ数46、パイプ総数3,283本)が据え付けられており、週末には無料またはワンコインのプロムナードコンサートが開催され、重厚で豊かなアコースティックの調べが空間全体を満たします。