第二次世界大戦以降、現代戦 撃墜王の誕生は極めて稀な現象となりました。朝鮮戦争やベトナム戦争、中東戦争では一部のエースが誕生したものの、現代の航空戦において数十機を撃墜するような単独エースが現れる余地は事実上消滅しています。
その最大の要因は、軍事航空技術の劇的な変革にあります。現代の制空戦闘は、肉眼で敵機を捉えて機銃を撃ち合うドッグファイトから、高性能レーダーと連携した「視程外射程(BVR:Beyond Visual Range)ミサイル」による長距離戦闘へと完全に移行しました。第5世代・第6世代ステルス戦闘機が飛び交う空では、パイロット同士が顔を合わせることなく、数十キロ〜数百キロ離れた地点から放たれた誘導弾によって勝敗が決します。
さらに、無人航空機(UAV・ドローン)やAI自律飛行システムの台頭により、高価な有人戦闘機が空中戦を展開する頻度そのものが激減しました。撃墜王とは、人間が自らの五感と反射神経を研ぎ澄まし、生身の肉体で大空を支配した「特定時代の特異な歴史的産物」であったと言えます。