ピアスホールの開通を急ぐあまり、インターネット上の不確かな体験談を鵜呑みにして危険な自己処置に及ぶユーザーは後を絶ちません。SNSやQ&Aサイトには「画鋲や安全ピンで刺し直した」「力づくで押し込んだらプチッと音がして開いた」といった乱暴な投稿が散見されますが、これは医学的に極めて危険な行為です。
抵抗を感じる穴にポストを力任せに突き刺すと、本来のホールのルートから外れ、耳たぶの内部に全く別の偽経路(盲端)を作ってしまいます。組織がズタズタに引き裂かれて出血し、黄色ブドウ球菌などの細菌が深部に侵入して蜂窩織炎(ほうかしきえん)や耳介軟骨膜炎を引き起こすリスクが跳ね上がります。
また、無理な自己処置が引き起こす深刻なトラブルが、耳たぶの中にできる「しこり」です。このピアス穴しこり原因と真相には、主に以下の3つのパターンが存在します。
- 粉瘤(アテローム):ピアッシングや無理な摩擦によって皮膚の表皮成分が皮下に埋没し、袋状の構造を作ってしまう病変です。袋の中に垢や皮脂が溜まり、徐々に数ミリから数センチ大の硬い塊へと肥大化します。潰そうとすると悪臭を放つ粥状の分泌物が出て、細菌感染を起こすと激痛を伴って腫れ上がります。
- 肉芽組織(肉芽腫):無理に押し込んだポストの物理的刺激や金属アレルギー反応によって、毛細血管と線維芽細胞が過剰に増殖した状態です。赤く熟したイチゴのように盛り上がり、わずかな接触で容易に出血するのが特徴です。
- 肥厚性瘢痕およびケロイド:創傷治癒のコントロールが破綻し、コラーゲン線維が異常増殖した結果生じます。体質的にケロイド素因を持つ人の場合、無理な自己貫通の傷をきっかけとして、耳たぶ全体を覆うような赤黒い巨大な塊へと進行し、外科手術やステロイド注射が必要になるケースがあります。
「プチッ」という感覚は、薄皮が破れた音ではなく、皮下組織が断裂した破壊音である可能性が高いと言えます。強い痛みが走ったり、少量の出血が見られたりした場合は、その時点で完全に自己処置を中止しなければなりません。