白河の歴史を語る上で絶対に外せないのが、市のシンボルである白河小峰城です。江戸幕府の老中として寛政の改革を断行した名君・松平定信ゆかりの城としても知られ、戊辰戦争の激戦地として一度は落城したものの、平成に入り当時の図面を忠実に再現して木造で三重櫓や前御門が復元されました。釘を極力使わない伝統工法でよみがえった櫓内部に足を踏み入れると、ヒバの香りと共に当時の武士たちの緊迫した息遣いを感じることができます。2011年の東日本大震災で石垣が大きく崩落しましたが、膨大な数の石を一つひとつ照合しながら積み直す気の遠くなるような修復作業を経て、現在は完全な姿を取り戻しています。
城下から少し南へ足を伸ばすと、日本屈指の歴史を誇る名勝・南湖公園が広がります。松平定信が「士民共楽(身分を問わず、武士も庶民も共に楽しむ)」の精神を掲げて1801年に築いたこの公園は、現存する日本最古の近代的な公園形態と称されています。湖畔を囲む松林や桜並木、秋の紅葉は見事で、名物の「南湖だんご」を頬張りながら湖畔の遊歩道を巡る時間は、旅の疲れを優しく癒やしてくれます。
そして、歴史ファンならずとも足を運びたいのが国指定史跡の白河の関です。古くは奈良時代から平安時代にかけて、都とみちのくを分かつ軍事・交通の重要拠点として置かれ、能因法師や松尾芭蕉など数多の歌人・文人が憧れ、歌に詠み込んできました。静寂に包まれた森の中に佇む白河神社周辺を歩くと、かつて旅人たちが覚悟を持って越えた境界の重みが肌に伝わってきます。