ネット上のヘルスケア情報において、極めて広く信じられている誤解が「腸内環境を良くするためには、とにかく野菜や食物繊維を大量に食べれば解決する」という言説です。しかし、硫黄臭に悩む人にとって、この安易なアドバイスは逆効果となる危険を孕んでいます。
食物繊維には「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類が存在します。ごぼう、さつまいも、豆類、玄米などに豊富に含まれる不溶性食物繊維は、水分を吸収して便のかさを増やす働きがあります。しかし、すでに腸内環境が悪化して腸の動きが鈍っている状態で不溶性食物繊維を過剰摂取すると、便の体積ばかりが膨らんで腸内で詰まり、便秘をさらに悪化させてしまうのです。結果として、滞留した便がより激しく腐敗し、硫黄臭のガス産生に拍車をかけるという本末転倒な事態に陥ります。
さらに、先述したアブラナ科野菜(キャベツやブロッコリー)を健康のためにと過量摂取することも、硫黄の供給源を自ら増やす行為になりかねません。便秘気味でガスが臭う初期段階では、不溶性食物繊維ではなく、海藻類やこんにゃく、オクラなどに含まれる水溶性食物繊維を意識的に選び、便を柔らかくして排泄を促すのが医学的に正しいアプローチです。