一宮を訪れた外食通が等しく驚嘆するのが、提供される料理のクオリティに対する支払額の低さです。名古屋駅周辺であれば1人あたり1万円前後は下らない本格的な日本料理やフレンチのコースが、一宮では5,000円から7,000円前後の価格帯で提供される場面に幾度となく遭遇します。この一宮夜ご飯コスパ最強の理由を紐解く最大の鍵は、土地柄に根ざした不動産構造と原価設計にあります。
地元の飲食関係者は、取材に対して次のように内情を明かします。「名古屋の一等地と比べて坪あたりの固定費が半分以下に抑えられる分、仕入れにコストを直接還元できます。中央卸売市場からの独自ルートに加え、近隣農家からの直接買い付けによって、原価率40%を超える攻めた皿出しを日常的に維持できるのです」。
さらに、大通り沿いの派手なロードサイド型店舗の裏側に隠れるように、住宅街や繊維工場の跡地に佇む「看板すら出さない名店」の存在があります。宣伝広告費を一切かけず、地元の口コミだけで連日満席を作り出すこうした店舗こそが、一宮のグルメカルチャーの屋台骨を支えています。