佐藤青南の最高傑作として真っ先に名前が挙がるのが、シリーズ第1作『サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻』です。人間が嘘をつく瞬間に0.2秒間だけ現れる微小表情「マイクロジェスチャー」を読み解き、完全黙秘を貫く被疑者や狡猾な知能犯から自白を引き出す女性取調官・楯岡絵麻の活躍を描きます。
2018年には栗山千明主演で本格的にドラマ化され、BSテレ東などで放送された連続ドラマはサスペンスファンの間で大きな反響を呼びました。ワンシチュエーションに近い取調室の中で繰り広げられる心理戦のスリル、どんでん返しのカタルシスは原作小説ならではの濃密さがあり、ドラマ版から原作の文庫本へと手を伸ばすファンが後を絶ちません。
単なる謎解きにとどまらず、犯人が嘘をつかざるを得なかった背景や業の深さにまで踏み込む人間ドラマとしての厚みが、本シリーズを単なる一過性のブームで終わらせない最大の要因です。