植物や鉱物などの天然素材を組み合わせた漢方薬は、合成化合物である西洋薬に比べて安全であるという「自然派信仰」が広く浸透しています。しかし、薬理作用を持つ成分を含んでいる以上、生体にとって異物であり、アレルギー反応や予期せぬ免疫応答を引き起こす可能性は常に存在します。
漢方薬によって引き起こされる肺の炎症は、主に「薬剤性間質性肺炎」と呼ばれる病態です。通常の肺炎が細菌やウイルスによって肺胞(空気を取り込む袋)の内部に炎症を起こすのに対し、間質性肺炎は肺胞の壁(間質)に炎症が生じます。壁が炎症によって線維化し、厚く硬くなることで、酸素を血液中に取り込む機能が著しく低下してしまうのが特徴です。
この発症メカニズムの主因と考えられているのが、特定の生薬に対するIV型アレルギー(遅延型細胞性免疫反応)です。薬の成分を生体がアレルゲンと認識し、感作されたTリンパ球が肺胞壁に集約してサイトカインを放出することで、肺組織を自ら攻撃してしまう現象が起こります。「体に優しい天然由来」というハロー効果(思い込み)が、かえって初期症状の発見を遅らせる最大の心理的盲点となっています。