インターネット上には「緑色の便は消化不良を起こしている」「お腹が冷えている証拠だ」といった、医学的根拠の乏しい情報がいまだに散見されます。しかし、これらの言説は小児消化器のメカニズムから見れば明らかな誤解です。
第一の誤解は、「緑色の便は腸の病気である」という思い込みです。先述の通り、緑色の正体は胆汁色素の酸化です。むしろ便秘気味で腸の中に便が長く留まっていたり、お腹の中でガス(空気)が多量に発生して混ざり合ったりした際に、より濃厚な深緑色へと変化します。「うんちが緑色だから病気」なのではなく、「腸のぜん動運動の速度や腸内ガスの状態によって色調が変わった」に過ぎません。
第二の盲点は、「色」ばかりに気を取られて赤ちゃんの「全身状態」を見落としてしまう点です。おむつの中の視覚的インパクトが強すぎるあまり、便の色だけを凝視してパニックに陥るケースが後を絶ちません。小児医療において最も重要な判断軸は、赤ちゃんうんち機嫌が良い場合、つまり笑顔が見られるか、普段通りに母乳やミルクを飲めているか、おしっこが十分に排泄されているかという全体像です。便の色がどれほど深い緑色であっても、全身状態が良好であれば、赤ちゃんの自己回復力と成長発達のプロセスを信じて見守るのが医学的に正しいアプローチです。