「トラネキサム酸を服用すると白髪になる」という言説について、皮膚科専門医および薬理学の共通見解は「医学的根拠のない都市伝説」です。厚生労働省が承認する医療用医薬品の添付文書、あるいは「トランシーノ」に代表される第1類医薬品の市販薬添付文書において、重大な副作用およびその他の副作用の項目に「白髪」「毛髪脱色」といった記載は過去一度も認められていません。
臨床現場で数多くの肝斑患者を診察する皮膚科医への取材でも、「トラネキサム酸の内服によって毛髪が白体化した事例を学術的に確認したことはない」と口を揃えます。国内外の皮膚科学会や色素細胞学会が発表する最新の安全性見解においても、本剤の投与と毛母メラノサイトの機能不全を関連付ける臨床試験データは皆無です。
それにもかかわらず、なぜこれほど強固に噂が定着してしまったのでしょうか。その背景には、有効成分が持つ「メラニン抑制」という言葉への誤った解釈と、服用者の年代的特徴が複雑に絡み合っています。