行間を狭くしようとしてツールバーの「行と段落の間隔」から「1.0」を選択したにもかかわらず、全く見た目が変わらないどころか、不自然な空白が残り続ける現象には明確な技術的根拠があります。原因は大きく分けて3つ存在します。
第一の要因にして最も厄介なのが、游明朝で行間が広すぎる原因として知られるフォント固有の設計です。Windows 10以降、Wordの標準フォントとして採用されている「游明朝」や「游ゴシック」は、電子書籍や本格的な商業出版での可読性を高めるため、文字の上下に仮想的な余白(メトリック情報)が広く確保されています。従来の「MS 明朝」に比べて天地の余白が大きいため、同じ10.5ptで文字を打っても行間が間延びして見えてしまうのです。
第二の要因が、Word日本版特有の「ページグリッド線」の存在です。Wordには、あらかじめ便箋のように目に見えないグリッド線が敷かれており、文字はこのラインに自動吸着(スナップ)する設定が初期状態で有効になっています。フォントの天地余白が少しでもグリッド線の枠をオーバーすると、Wordは「この行は1行分に収まらない」と自動判断し、突如として2行分の高さを丸ごと割り当ててしまいます。文字サイズを10.5ptから11ptや12ptへわずかに拡大した瞬間、行間が突如として倍に激増するのはこのためです。
第三の要因は、EnterキーによるWord改行で行間が広がる原因となる「段落前後の余白」です。WordにおけるEnterキーは単なる改行ではなく「新しい段落の開始」を意味します。初期設定では段落と段落の間にあらかじめ「後間隔」などの余白が自動挿入される設定になっているケースが多く、文章を改行するたびに大きな空行が勝手に生まれる構造になっています。