帝京大学の躍進を語る上で欠かせないのが、首脳陣の世代交代劇です。かつて大学選手権9連覇の金字塔を打ち立てた岩出雅之氏は、2021年度シーズンをもって勇退し、スポーツ局長へと就任しました。カリスマ指導者の退任に際しては「帝京の黄金期も終わるのではないか」と囁かれましたが、その懸念は杞憂に終わりました。
後を継いだOBの相馬朋和監督は、岩出イズムである「脱・体育会系」のカルチャーを完全に継承しながら、より現代的かつ世界基準のラグビー理論をグラウンドに注入しました。相馬監督は、トップリーグのパナソニック(現・埼玉ワイルドナイツ)で日本一を経験し、日本代表のスクラムコーチとしても手腕を振るった現場派の指導者です。相馬体制のもとで、帝京のスクラムとコンタクトエリアの規律はさらに一段階引き上げられました。
2026年シーズンを迎えた現在のメンバー陣にも、その哲学が深く浸透しています。高校日本代表クラスのエリート選手はもちろんのこと、花園(全国高校ラグビー大会)の舞台を経験していない無名選手であっても、百草グラウンドの育成システムを通じて急成長を遂げ、Aチームのスターティングメンバーに抜擢される例が後を絶ちません。「誰が出ても帝京のラグビーを遂行できる」という分厚い選手層は、百草寮での共同生活と、百草グラウンドでの質の高い実戦練習から生まれています。