では、現場の専門家である言語聴覚士(ST)やことばの教室の指導教員は、具体的にどのような手順で治していくのでしょうか。発音改善の第一歩は、「中央から息を真っ直ぐ出す感覚」を取り戻すことにあります。
臨床現場やnote等の実践記録で広く紹介され、高い効果を上げているのが「側音化構音ストロー練習法」です。歪んでいる音(ち・し等)をいきなり言わせるのではなく、物理的な器具を使って空気の流れを視覚・触覚で自覚させるアプローチを取ります。
基本的なストロー練習のステップは次の通りです。
まず、細めのストローを前歯の中央(上下の切歯の間)に軽く挟みます。その状態で、舌の先をストローの後ろあたりに近づけ、ストローの細い穴だけに真っ直ぐ息を通すように「スー」と優しく吹きます。ストローの先端を水を入れた紙コップに差し込んでおけば、呼気が中央を通ったときにだけ水面がブクブクと泡立ちます。もし息が横から漏れていれば泡は立たず、頬の横から空気が抜ける感触が自分でわかります。
YouTube上で臨床解説を発信する言語聴覚士・ことの木たろう氏の実践動画でも指摘されている通り、側音化構音は「舌の奥や横に偏った運動」を「舌の中央・正中部に集約させる」ことが改善の分岐点となります。ストローを通じて「中央に細く鋭い呼気を通す感覚」が掴めたら、ストローを口から外し、その中央の息の通り道を維持したまま「ス」「シ」へと段階的に移行していきます。
家庭で練習を取り入れる際は、1回5分から10分程度の短い時間で切り上げることが鉄則です。短時間でも「正しい感覚で1回言えた」成功体験を積み重ね、間違った音を何十回も反復させない環境作りが成果を左右します。