育休中の税務において、もっとも深刻な誤算を生みやすいのが住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)です。住宅ローン控除は「納めるべき所得税から直接マイナスする(税額控除)」仕組みとなっています。引ききれなかった分は翌年度の住民税からも一定額まで減額されますが、それにも上限があります。
夫婦で住宅を購入し、「ペアローン」を組んでいる、あるいは妻が「連帯債務者」となっている場合、育休中の妻は大きな壁に突き当たります。
育休中で本人の給与収入が大幅に減少、またはゼロになっている年は、そもそも納める所得税が存在しません。住民税も非課税、あるいは最低水準に下がるため、本来受けられるはずの数十万円の住宅ローン控除枠が控除しきれず、完全に消滅(掛け捨て)してしまいます。
夫のローン分は通常通り夫の税金から控除されますが、妻名義のローン枠を夫の税金から代わりに差し引くことは制度上一切認められていません。「育休中もペアローンの控除が満額戻ってくる」と皮算用していた世帯が、還付金ゼロの通知書を見て愕然とするトラブルが多発しています。産休・育休の期間とマイホーム購入のタイミングは、減税効果のロスまで綿密に計算して設計する必要があります。