関西汽船やダイヤモンドフェリーが運航していた時代を知る世代にとって、大阪港(弁天埠頭や南港)から松山観光港へ向かう直行航路は、瀬戸内クルーズを代表する定番ルートでした。しかし、この直行フェリーはすでに過去のものとなっています。
大阪松山フェリー直行便廃止理由の根底にあるのは、1990年代後半から2000年代にかけて急速に進んだ本四連絡橋(明石海峡大橋・しまなみ海道)の開通です。高速道路網の整備によって長距離高速バスが台頭し、所要時間と運賃の両面で激しい価格競争が勃発しました。さらに燃料油価格の高騰や船体の老朽化が重なり、直行フェリー各社は航路再編を余儀なくされ、松山直行便は実質的な撤退・統合の道をたどりました。
では、受け入れ港だった松山観光港の現在航路はどうなっているのでしょうか。現地港湾局のデータおよび運航ダイヤを確認すると、現在松山観光港に定期発着している旅客船は、広島・呉を結ぶ瀬戸内海汽船・石崎汽船(スーパージェットおよびフェリー)や、北九州・小倉を結ぶ松山・小倉フェリーなどに限られています。関西方面からの直行旅客フェリーは現在1便も運航されていません。