ロンドン編の魅力はラブストーリーだけに留まりません。シャーロック・ホームズの物語へのリスペクトに満ちた本格ミステリーとしての完成度も極めて高い評価を得ています。
事件の発端は、シャーロック・ホームズ博物館の前でコナンが出会った少年アポロ・グラスでした。アポロは「知らない男から黙示録を渡された」と怯えており、その男こそが過去の怨恨から無差別連続爆破を企む凶悪犯ハデス・サバラでした。ハデスは自らの復讐計画を暗号詩に仕立て上げ、ロンドン中に殺人予告をばらまいていたのです。
ハデスが残した暗号は、ビッグベン、トラファルガー広場、セント・メアリー・アクス(ガーキン)、ロンドン市庁舎など、実在するロンドンの名所や歴史的建造物を巧みに指し示していました。コナンは蘭や毛利小五郎の協力を得ながら、各地点に隠された文字の手がかりを収集。最終的に導き出されたメッセージは、テニスのグランドスラム(ウィンブルドン選手権)決勝戦の会場で、世界女王であるミネルバ・グラスの母親を爆殺するという戦慄の計画でした。
ウィンブルドンのセンターコートという世界的大舞台において、ミネルバはコート上からサーブを特定のコースに打ち分けることで点字メッセージを構築。コナンはその意図を瞬時に見抜き、観客席からミネルバを鼓舞しながら犯人の特定と爆弾の無力化に挑みます。推理小説の古典的手法と現代的なスポーツの緊張感が融合した、屈指のサスペンス構成となっています。