「甥の晴れ舞台なのだから、親族として最上位の礼装を着ていくべきではないか」という相談が、マナー相談窓口や大手百貨店のフォーマルサロンに後を絶ちません。かつての慣習では「親族=全員が正礼装(男性ならモーニングコート、女性なら五つ紋の黒留袖)」という地域性や家制度の縛りが色濃く残っていました。しかし、式場形態がゲストハウスやレストラン、リゾートへと細分化された現在、その画一的なルールは大きく再定義されています。
大手ブライダル関連研究所が2025年後半から2026年にかけて実施した「親族の婚礼衣装に関する意識調査」によると、参列経験者全体の73.4%が「新郎新婦の親よりも目立たず、かつ友人ゲストよりフォーマルな装い(準礼装)を意識した」と回答しています。親族だからといって機械的に最高格の礼服を選ぶと、かえって「母親の立場をかすめてしまう」という逆転現象が起こるリスクを孕んでいるのです。
どこまで略式が許されるかの境界線は、招待された挙式会場の格式と両家の事前のすり合わせ状況の2点に集約されます。親族席に座る以上、一般の友人席のような過度なカジュアルダウンは失礼にあたりますが、正礼装(モーニングや黒留袖)への過度な固執もまた、現代のウェディング現場ではチグハグな印象を与えかねません。